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リュウと空人 第十八話

(旧暦 39年 2月 某日)


北東の空に、巨大な影が見えた。

「来たか・・・。」

カーブラが静かにつぶやく。
その表情は厳しいものだったが、ともすればどこか清々しさも感じられた。


戦いの時が来たのである。
一旦は引いたリュウだが、日が昇って間もなく、再びやって来た。



勝てる見込みがないことは分かっている。
だが、だからこそ最後の一人まで戦うのだ。
勝てないことを理由に逃げるのは、敗北以上の屈辱である。


都の東方の、ややひらけた場所に陣を構え、敵の襲来を待っていた空人の一団が、一斉に空へと飛び立った。
ここを突破されれば、都は目前。もはや後が無い。


敵は5体。
こちらの動きを見て、空中でパッと散った。巨体に似合わず、彼らの動きは敏捷だ。


空人の一団もそれを追う。


一人の空人が矢を放った。それはリュウの背に命中したが、傷一つつけることなく弾かれた。
効果がないと分かっていても、使える武器は弓矢しかない。空人たちは次々と、持てる限りの矢を放った。

まるでそんな空人を嘲るかの如く、リュウ達は悠然と飛ぶ。
自分たちの優位が揺るがないことをこれでもかと誇示しているかのようだ。


リュウの翼が巻き起こす気流に煽られ、バランスを崩した一人の空人が地上へと落下した。
また、ある者はリュウの吹いた炎に焼かれ、一瞬で灰と化した。

だが、彼らはひるまない。
しつこくリュウのまわりに群がっては、その巨体へ向けて矢を放つ。

しかし、その矢も次第に残り少なくなってきた。
矢は彼らの唯一の武器である。たとえ戦う意志があっても、武器が無くては話にならない。

万策尽き果てようとした、まさにその時である。
西の空に、こちらに向かって飛ぶ空人の影が見えた。



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 posted by Y.I (admin)